2023.11.26
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歯石と歯周病🦷
明石市硯町のPremo動物病院です。
本日は、歯石と歯周病についてお話します。
歯周病は、歯垢中の細菌によって歯肉などの炎症が引き起こされ、破壊されていく病気です。
歯垢は歯の表面に付着した食べかすや口の中の細菌、唾液中のタンパク質などが合わさった付着物で、歯石は歯垢が唾液中のカルシウム成分を取り込んで石灰化(石のように硬くなる)したものを指します。
歯石の表面はデコボコしており歯垢が付着しやすく、細菌のさらなる増殖場所になります。
歯周病が進行すると、歯と歯肉の付着部が破壊されて歯と歯茎の間に隙間(歯周ポケット)ができ、さらに進むと歯を支えている顎の骨(歯槽骨)が吸収され、歯がぐらついたり出血や膿が出てきます。ひどい場合には歯の根本から鼻の中に穴が空いたり(口腔鼻腔瘻)、歯の根本に膿がたまり顔が腫れたり眼の下などから皮膚を破って膿が出たり(根尖膿瘍)します。歯槽骨の吸収がひどいと顎の骨を骨折してしまう事さえあります。
また、歯周病の細菌に関連して、心臓、腎臓、肝臓などの臓器に悪影響が生じると言われています。
以下は当院で歯石除去及び抜歯をおこなった症例の写真です。
歯石除去前
歯石除去後
この子の場合は、左右両方の上顎の犬歯(一番大きい牙)の根本に鼻腔につながる穴が空いてしまっていたため抜歯し、そこにできた穴を口の中の粘膜を一部移植して塞いでいます。
また、下顎の犬歯も本来なら歯茎に埋まっていなくてはならない部分がかなり露出していたため抜歯することになりました。
歯周病は、炎症止めや抗生剤で一時的に症状を緩和することは可能ですが、多くの場合で根本的解決には全身麻酔下での歯周ポケットまで含むクリーニングや抜歯が必要となります。
無麻酔での歯石除去を行うサロンなどもありますが、処置を受ける動物の恐怖感や痛みの緩和が困難であること、歯周ポケットのクリーニングが行えず歯周病予防や治療としては効果が見込めないこと、獣医療法や動物愛護法に反する可能性があることなどから当院では推奨していません。
年齢だけを理由に麻酔下での処置が行えないということはありませんので高齢の子で歯周病にお悩みの場合も是非一度ご相談ください。
また、歯周病の予防には日頃のケアがもっとも大切になります。
歯に付着した歯垢は、犬では3〜5日、猫では約1週間程度で完全に石灰化して固まってしまい歯磨きなどでは除去できなくなってしまいます。
麻酔下歯石除去を行なった後も継続的なケアが重要です。
当院のパピークラスでは歯磨きの練習方法もお伝えしていますので子犬を迎える際は是非ご相談ください。
院長
岩崎大樹